ちいさこべえ
久しぶりに好きな漫画を読みました。
何年か前に本屋さんでジャケ買いしました。その頃、本屋にたびたび通っては漫画をジャケ買いするのにはまってました。望月ミネタロウという漫画家は知っていたけどちゃんと読んだことはなかったです。大学の休憩室みたいなところに転がっていたドラゴンヘッドの冒頭をちらっと読んだくらい。
「ちいさこべえ」は山本周五郎原作の時代小説「ちいさこべ」を現代に置き換えて漫画化したということ。主人公は工務店の若棟梁である茂次。火事で両親を亡くした主人公は、工務店の再建に奮闘する。お手伝いのりつや、りつが引き取った身寄りのない子供たち、工務店の従業員たちや昔馴染みの人々とのやりとりを通していつの時代であっても変わらない「人情」を描いている…という感じかな?説明するのが下手だ。
感想もうまく書ける自信がないので箇条書きで。いつもこうだな~。。
・絵がきれい!だし、無駄な動きがないというか静かなイメージがあります。集中線とかほとんどないし、人物が喋っていても口が閉じている。コマ割りについてもまっすぐ垂直で整然としてるなあと思う。土台が静かで整っているからか大きくコマを割いている時や表情が変わる時に際立つ感じが好きです。
・漫画だけど小説を読んでいるような感覚がするのは。原作が小説だから当たり前?絵の動きが少ないことやせりふの雰囲気からそう感じるのかな?それがなんか心地よい。
・キャラクターが個性的で魅力的。大(マサル)の「何とも言いようもねぇが…」という口癖とか。横浜のインパクト大の顔つきとか。福田さんの変人っぷりとか。
なにより、りつがいい。ゆうこさんのような教養がなくても、うまくやれなくても自分なりに出来ることをやろうとしている姿勢がいいなぁ。
・登場人物が言い争う場面も、なんていうか、ちゃんとお互いの考えを話して伝えようとしているのが気持ちがいい。考えを伝えるのって難しいし、相手の考えが理解できないこともあるし、面倒くさいからついつい人間関係から逃げてしまうけど。これが人情なのか。
・つい涙してしまったのはキクくんがりつが寝ている部屋に忍び込んで、寝ている(フリをしている)りつに「お母ちゃん」と呼びかけるシーン。泣いた。りつも泣いていた。自分が恥ずかしくなるよね。
・心に留まったせりふ。スーパーでお菓子を盗んでしまった子供を茂次が叱る場面。「もう、やっちまった事は変えることはできねぇ。そう、起こっちまった事も…けど、今からは変える事が出来る。たぶん人が何かを得るのはごく数回だ。ちょっと…難しいけど何となくはわかるな?」
・漫画に出てくる建物とか道具もきちんと描かれていて素敵。あと、食べ物がおいしそう。今日はお味噌汁が飲みたくなった。
全四巻読み直して、なんだか心が整った気がする。本や漫画や音楽は私の人生の栄養だな~。
昨日は同じ望月さんのマンガ「バタアシ金魚」も読んだけど絵柄が全然違っている。バタアシ金魚はバイクでどこにでも突っ込むし、流血しまくってるし、ぶっ飛んでて、全然静かじゃなかった!笑 けど同じ人の漫画だなってなんかわかる。うまく言えないけど…